シャンティプレマ 北欧子ども政策 プレマおばさん 北欧3カ国(ノルウェー・フィンランド・スウェーデン)に学ぶ

北欧の社会福祉事情

@北欧型福祉国家

専門書では北欧の諸国は普遍主義型または社会民主主義といわれており、その主な特徴は次のようになります。
  • 国家が国民の幸せに責任をもつ割合が大きく、完全雇用が経済および社会政策の目標であること
  • 高度の普遍主義の基に全ての市民が地位、階級、居住地に関係なく、基本的な社会保障の給付とサービスを受けられること
  • 国内総生産に対する社会保障費の割合が高いため、税金が高いこと
  • 平等が基本概念であり、特に男女間の平等が重要であること(女性の労働参加の割合が世界で最も高く、女性が経済的にも自立していること)
  • 所得格差が他の国と比較して小さいこと
  • 社会保障と共に福祉サービスに力を入れており、地方分権が高度に発達していること
 これらの特徴見ただけでも北欧の国々が何を目指しているのかが分かります。国民の幸せは何かを追求し所得の格差をなくし誰もが平等にサービスを受けられる社会。これは視察先で説明をしてくれる人たちの口から何度も聞かれた言葉です。経済最優先で競争社会である日本との決定的な違いを見せつけられた思いがしました。

A社会保障政策の特徴

◆高負担で高福祉
 北欧は税金が高いと覚悟はしていたものの実際買い物したり食事をしたりして、その高さにはビックリさせられました。下の表は北欧と日本の税制の違いを示したものです。国を維持するために国民(家計や企業)がどの程度の負担をしているかを測るモノサシとして「国民負担率」が使われます。国税・地方税を合わせた租税と社会保険料などの社会保障負担の国民所得に占める割合です。北欧の福祉は、税金と社会保障費は高く負担は大きくなっています。しかし、それによってより高い社会福祉や保健サービスを誰でも公平に受けることが出来るのです。

北欧と日本の税制の違い
付加価値税率
(消費税)
租税負担率(2000年)
国民所得の額に対する国税と地方税の総額の割合
国民負担率(2003年)
納税額と年金などの保険料の合計が収入のどれ位の割合か
フィンランド 標準消費税 22%
食料品消費税 17%
49.4% 64.3%
スウェーデン 標準消費税 25%
食料品消費税 12%
54.4% 71.0%
ノルウェー 標準消費税 24%
食料品消費税 12%
43.1% 58.0%
日本 5% 23.2% 39.7%(2007年)

◆ 社会サービスの考え方
 自分でできない時は社会が保障、援助する。つまり個人が障害や疾病による不自由さにかかわらず、自立して生活することが出来るよう支援します。これは足りないものを補い合う、困ったことを助け合うという相互扶助の考え方からきていると思いました。そして「ゆりかごから墓場まで」と言われるように、子育てから高齢者ケアまで社会全体で支えあっているのが特徴です。

◆ 地方自治体について
 所得保障は国、サービスは自治体というように国と自治体の責任分担がはっきりしています。ですから地方分権が高度に発達しており、地方自治体は、教育、文化、社会福祉、保健、環境など生活活全般のサービスに責任を持ちます。このように自治体が住民の生活にかかわる幅広いサービスを行っているため、地方議会は住民代表による議会民主主義を重視します。地方議員はボランティア的な名誉職であり、パートタイム労働になっています。それでも議員数の5倍ほどの立候補者があると聞きますから驚きです。また18歳になれば立候補できるので若い議員も多く、また女性の議員数も35%から47%を占めています。
B家族制度と教育制度
◆ 家族支援政策
 北欧諸国は1980年代半ば以降、職場と家庭における男女平等、児童福祉の推進を目標に家族政策を行ってきました。有給出産・育児制度、保育支援といった子育てと仕事の両立を支援する家族政策の整備・拡充により、出産・育児をめぐる女性の負担を軽減することができました。そうした政策が結果的に出生率の向上と高い女性労働力率を可能にしているのです。出生率を上げるために少子化対策に取り組んでいる日本とは全く逆の発想だと感じました。

◆ 教育制度
 格差をなくす教育で世界一の学力を維持しているフィンランド、のびのびと何度でもやり直せる教育を実践しているスウェーデン、一人ひとりの能力と技能に合わせ冨を創造する基盤と福祉の提供に力を注いでいるノルウェー。北欧各国により特色がありますが、どの国でも平等に教育を提供しているところでは共通しています。教育費は無料で、給食費や教科書も無料になります。下の表にもあるように、国はしっかり教育費に予算を当てており、ここ数年教育費用全体に占める公的支出の割合は日本のように減ってはいません。
フィンランド スウェーデン ノルウェー 日本
教育機関への
公的支出対GDP比
(2004年)
6.1% 6.7% 6.6% 4.8%
教育費用全体に
占める公的支出の割合
(2003年)
98.3%↑ 97.0%→ 98.5%→ 72.9%↓